平成29年度 第3回セミナー講師

阿蘇市須藤 範文さん

就農年
平成28年4月
主な作目等
トマト(施設野菜)
農業従事者
本人・妻

宮崎県出身で、東京のサラリーマンから熊本の農家に転職しました。 転職の動機は、自己努力、自己責任での個人事業主になることに遣り甲斐を感じたからです。熊本には千葉県出身の妻と阿蘇の雄大な自然風景に子育ての環境としても気に入ったので、平成26年7月に移住し就農しました。

須藤 範文さんの写真

前職から就農までの経緯について

自分に合った職業を考えていた時に宮崎県の実家の家業である「農業」を考えるようになりました。 そこで、情報収集をするために東京で開催されていた「新農業人フェア」に参加して農業の魅力に気付き、農業支援制度がある事を知り、会社員から農家に転職するという方向性が決まりました。そして、熊本には平成26年7月に家族で移住し、その後夫婦で研修を受けながら研修中の平成27年7月に認定新規就農者となりました。平成28年4月から夫婦で独立就農し、夏秋トマトを栽培しています。

就農地域を決めることについて

いざ就農しようと思ってからは、他の仕事と比べる等の事はせずに妻と相談しながら、とにかく農業がしたいという熱意が先走っていた感じでした。地域を決めたのは、阿蘇が子供の頃から馴染みある土地でしたし、その自然や雄大な風景が魅力的であり、温泉が日常生活の中にある等、千葉県出身の妻にとっても就農に関わらず住んでみたいという土地柄だったことです。後、何よりも子供がすくすく健やかに育つような環境も決め手でした 。

今の作目に決めた理由と研修先について

まず営農したい場所が決まってから阿蘇で自立出来る作目は何かという前提で、葉物野菜農家、アスパラ農家、トマト農家等を1週間ずつ農業体験させて頂き、自分の性格等を考慮した結果大玉トマトが良いだろうという事になりました。

農業技術は何処で研修して、その研修先に決めた理由について

研修先を決める前にNPO法人阿蘇エコファーマーズセンターの会員農家で1週間体験をし、ここで学べば自立していけると思い研修先として選びました。又、研修先のトマト農家さんも脱サラ組で、年齢が近いお子さんがおられる等、境遇が似通っていた事等も決め手となりました。そして、青年就農給付金事業(現農業次世代人材投資事業)の準備型を夫婦で活用しながら1年半研修し学びました。

ハウス施設や農業機械、農舎等の確保と資金について

農地は、家を借りる際に大家さんの知り合いの地主さんを紹介していただき、好意的に個人間の話し合いをした後に農業委員会に借地権設定申請をして許可を得ました。

資金については最初に用意した資金は800万円でした。資金を借りる際は、ハウス施設の内380万を農協の融資窓口を通じて日本政策金融公庫から2年据え置き後の10年償還無利子で借りています。自己負担額はハウス施設に約420万、農業機械やその他の資材で150万ほどです。ハウス施設に関しては「くまもと稼げる園芸産地育成対策事業」*という50%補助制度を利用しました。

販売について

現在の販売は100%JAです。JAの良い点は生産に集中でき技術を磨く事に時間をそそげる点、出荷から入金までが早く資金繰りが良い点、価格が下がった時に価格安定補填金がある点、補助金が利用し易い点等です。悪い点は価格の決定が市場任せであり収入が不安定である点です。

就農してよかったと思える事、そして今後の目標について

農業がつくづく適職だなと思える事が何よりも良かったと思います。後、子供と過ごす時間が増えた事。そして自己努力、自己責任での個人事業主になって遣り甲斐を感じています
今後の目標については、トマトは野菜の中でも難しい作目と言われていますが、その分、技術を磨く努力が必ず収入に繋がっていくと考えています。良品に不景気無しという言葉を信じて、当面は夫婦二人現在の面積で反収を伸ばしつつ品質に磨きをかけていく事に精進していこうと考えています。

新規就農を目指す人へのアドバイス

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まずは、自分のやりたい農業を明確にしておく事が非常に大切です。独立後は、生産、販売、経理、資金の使い道等何でもやらなければなりません。一方、どんな未来を描くかも自分次第で夢もありますが同時にそのリスクも自分で背負わなければなりません。又、農業が性格的にあっているのかも大切な点です。就農前に体験等を通してこれらの事をしっかり確認し、そしてワクワクするような情熱を持てたらうまくいくと思っています。