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先輩の体験談 (上益城)東丈夫氏

このページでは、「就農」をすでに体験された先輩方の体験談を掲載いたします。
これから就農を目指す方はぜひご覧ください。(記事掲載:平成23年10月)

氏名
東 丈夫さん(50代)
就農年 平成22年
就農地 上益城郡甲佐町
主な作目等 ニラ 75a
主な農業従事者 本人、妻、研修生 計3名
就農の動機 前職は自営業(デザイン事務所経営)。農業の経験は全くなく、当初は妻の家庭菜園を手伝う程度であった。ウェブデザイン業界しか知らない私にとって、野菜作りは全てが新鮮で、驚きと感動の連続。いつの間にか、作物を育てる喜びに夢中になり、農業を仕事として本気でやってみたいと考えるようになった。
就農への取り組み

【研修】
当時の私は、就農するためにはどうしたら良いのか、就農手順についての知識が全くなく、自分で思いつく限りの、いろんな公共関連機関等に足を運び相談を重ねた。
そして、県立農業大学校の新規就農支援研修があるという情報を得て受講申込し、平成21年度の研修生として8ケ月の研修を受けることができた。
同大学校の週2日の研修では、野菜、作物についての講義や、経営、農業簿記、病害虫等について学ぶと同時に、農作業安全研修(農耕車限定の大型・けん引)を受けることができ、大型免許を取得することができた。
同研修で、将来の自分の夢を具体的に描くことができたことは大きな意義があったように思う。

【作物の選定】
研修を受ける前は、ただ漠然と、果樹(ブルーベリー)を栽培しようかと思っていたが、農家派遣研修で、受入農家の方(独立後の現在も継続して師匠となって下さっている)や農大研修部の先生方の助言を受けていく中で、自分の技術力、農業経営、初期投資などについて具体的に考えられるようになった。
新規就農者となる自分にとって、比較的、作りやすい作物であること、病害虫被害にあっても全滅になることはないこと、初年度から収入が見込めること、等を考慮したうえで二転三転しながらも、作物は施設栽培でのニラと決めることができた。

【農地確保の苦労】
「さあ、上益城でニラを作るぞ!」と意気込んで何のあてもないまま目標を定めたものの、当時は熊本市内に住んでいたこともあり、貸してくれるような農地や空き家はすぐには見つからなかった。
各町役場やJAさんに相談しても思うような協力を得ることもできずに、ただ途方に暮れる毎日を過ごしていた。当時は焦りもあり、「何て冷たいんだろう・・」と、思う事もあったが、今になって考えてみると当たり前の事であったように思う。
そんな中で、ある方を通してやっと、農家さんを紹介していただくことができ、(わらをもつかむ思いで)農業にかける意気込み、情熱、本気であることなどを話した。
その農家さんは、不安はあった様子であったが、紹介者が同席して下さっていたこともあり、結局、ボイラー、ボーリング付きの連棟ハウス10aと、15aの畑を貸していただけることとなった。
その時の喜びは今でも忘れられず、お二人には感謝の気持ちで一杯である。
その後、新たな農地も借地することができ、現在は75aの農地を借地している。

【資金の確保】
農地の目途がつき、ようやく今後の営農計画を具体的にたてられるようになったので、上益城地域振興局の指導を仰ぎ、就農計画認定申請書を提出して承認を得、平成22年5月に認定就農者となった。
就農当初、中古ハウスを運よく手配することができ、そのハウスの修繕費及び農地の2年間の借地料については、県の仮独立就農支援制度を利用することができた。
その他に、水道工事、電気工事などは友人、知人が無償で協力してくれた。
今年度は新たなハウス、選別機などの取得をし、その費用については就農支援資金(就農施設資金)の融資を受け、また、経営体育成交付金(新規就農者補助事業)を利用した。

【販路について】
大量流通できるJAのニラ生産部会に加入して、大都市圏市場などへ共同販売を行っている。

【楽しくも苦難の日々】
就農初年度、4月に農業委員会を通して農地の貸借契約を結ばせて頂いた後は、5月下旬の定植まで時間がない状態での圃場の整備、中古ハウスの移設、苗の管理、住居探し、移転、機械類の確保など、やらなけれならないことがあまりにも多く、90キロ近くあった体重は約2ケ月後に70キロにまで減少した。
しかし、初めて出荷ができた時は、何にも代えがたい大きな感動と充実感を得ることができ、今までの苦労が吹き飛んだ思いがした。

【手作りの作業小屋】
友人の好意により、会社の敷地内を一部、提供してもらうことができ、手作りの作業小屋(8×4m)を建てた。
NPO仲間所有の山から丸太を20本切りだしてもらい、木の皮を剥ぐところから始め、農作業の合間に夫婦二人でぼちぼちと建て始めた。支柱立てと屋根は仲間に協力をお願いするなどして、完成までに半年の期間を要し、1,5坪の冷蔵庫、エアコンなどを設置し、選果場所としての環境を整えた。(一番上の写真は作業小屋の前で撮影)

【今後の目標】
経営を順調に伸ばし、3~5年後には法人化したい。また、面積を拡大し、ニラの他に果樹栽培もやりたいと思っている。そして雇用型経営を目指して、微力ながら地域貢献につなげられたらと願っている。

経営の特徴
  • 農薬不使用、有機肥料にこだわり主品目のニラや季節の野菜を栽培。
  • 就農初年は例外にもれず、ニラ栽培につきものの害虫や病気を殆ど全部経験し、今年も変わらず苦難は続いているが購入して下さるお客様の健康と安全を守りたいとの思いから、数量は増えなくても現在のやり方を極めたい。
新規就農を目指す人へのアドバイス
  • 3年後、5年後、10年後と、目標とすべき経営内容や数値を定め、それに向かって努力し、1年毎にチェックする。就農2年以内に経営安定にもっていけたらいいのでは。
  • ある程度の蓄えは必要。就農前、就農時には自己資金が必要となる。
  • 基盤がないところからスタートする新規就農者の方にとっての相談先として、自分の経験から、各地区の就農アドバイザーや地域振興局へ相談されてみてはいかがでしょうか。
  • すべてが自己責任の世界。周りに責任転嫁しないで頑張ってほしい。