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先輩の体験談 (熊本市) 吉岡秀樹氏

このページでは、「就農」をすでに体験された先輩方の体験談を掲載いたします。
これから就農を目指す方はぜひご覧ください。(記事掲載:平成24年9月)

氏名
吉岡 秀樹さん(30代)
就農年 平成23年
就農地 熊本市西区松尾町
主な作目等 果樹(桃、柑橘系、栗ほか)や野菜など約40種類、養鶏(予定)   合計 約90a
主な農業従事者 本人1名
就農の動機 前職は調理士。食を扱う立場から食物の安全性が気になっていた頃、有機野菜の濃い味に深く感動。どうせなら自分が納得できるものを素材から作ってみたいと思い、就農を決意。
将来、経営が軌道にのってきたら農家レストランを開きたいと思っている。  
就農への取り組み

【研修】

  • 前職を退職後、帰熊してすぐに農地を探したが思うように見つからなかった。挫折しかかった時に、熊本市主催の「平成21年度熊本市新規就農支援研修」を知り応募。第1期生として、約10ケ月間の研修を受講。農業は未経験だったここともあり、基礎研修、実践研修を待ち遠しい思いで学んだ。
  • その後、周囲の勧めもあって、「平成22年度JA農業インターン研修」を受講し、1年間、更に深く実践的な農業技術・知識の習得をすることができた。

【農地の確保】

  • 就農を考えた当初は、農家の高齢化もあり農地の確保はそう難しくないのではと安易に考えていた。本格的に農地を探し始めたが、知り合いもつてもない私は思いつくままに、約200軒近く、農家さんの家を訪ねては断られ続けた。今思えば、初対面の私に信用があるはずもなく、突然の訪問に農家の方も戸惑われたことと思う。
     その後、農業研修を受けた時の縁で、耕作放棄地となった農地を借りられる目途がたち、苦労して開墾し終わった頃に、貸主の方に事情ができ借地ができなかったことが2度ほど続いた。
  • 自分が目指した農業のあり方が、農薬や化学肥料を一切使わないものであったので周辺農家の方に迷惑がかからないような場所として、主に山頂付近の過疎地を中心に研修休日を利用して探し回った。そのうち、訪問した農家さんのお世話で思いがけないご縁をいただく事ができ、今の農地を貸して頂けることとなった。そこは、10年以上、耕作されていない樹園地であったため鬱蒼とした森のような状態であったが、自分にとっては大きな安堵感とともに理想の地のように思えて心から嬉しかった。
  • 開墾は、ユンボや斧を使って、1本1本、一人で伐採し続けた。暗かった森の下から、細い農道が現れた時には、かつての先輩方が汗を流す光景が目に浮かび心から感動した。
 平成22年 開墾前 (森と化し、昼間でも暗い。不法投棄のごみを片付けた)
 平成22年  開墾前 (樹と竹が絡み合う)
 平成22年  開墾前 (これらの木を伐採後に、農道が現れた)
平成23年  開墾途中 (伐採の仕方は本やインターネットで調べた)
平成23年 暗渠排水を造るー写真左の機械操作は自分
平成23年 暗渠排水-竹とゴムホースを利用
 平成24年5月  開墾後 (果樹の苗を植えた)
 平成24年5月  敷地の一角に手作りで養鶏小屋を造るところ (周囲に民家はない)

【資金の確保】

  • 前職で就農を決意したころから、給料をできるだけ節約して貯金し、数年間かけて営農資金・生活資金の準備をした。
  • 就農後は、行政の助言もあり耕作放棄地再生利用緊急対策交付金を活用し、耕作放棄地を再生。
  • 当初は、収入を補うためのアルバイトも考えていたが、現実は早朝から日没まで作業に追われて時間も体力もなかった。
経営の特徴
  • 現在は、桃を主に、ブラッドオレンジ、デコポン等の果樹や露地野菜(少量多品目)、養鶏(準備中)。
  • 無農薬にこだわり、山の落ち葉でボカシ作りや、竹林から土着菌を採取し培養して畑にまくなどの工夫。
  • 野菜の種は原種を使い、出来るだけ自家採取している。

【今後の目標】

  • 果樹や野菜、卵を使っての菓子作り(ケーキ工房)や、農家レストランの開設を目標にしている。また、将来は市民農園をつくり、耕作放棄地の解消に少しでも貢献したい。

【販路】

  • まだ安定した出荷は難しいが、JA直売所(you+you)、その他の直売所等を主としている。将来は、個人のお客様を増やし、消費者と生産者の顔の見える関係を作りたい。

【農業への想い】

  • 小さな種を植えて、その後の自分の行動や天候次第では、毎回同じ結果ではないことが、「自然の中にいる」 ことを実感することにもなり楽しさを感じる。
  • 経済的には厳しく不安もあるが、それでも農業は可能性の大きい業種だと思う。
就農して苦労したこと
  • 農地の確保も容易ではなかったが、作業中、大事故につながるようなことも経験した。一人で開墾中、伐採した倒木の枝が弓のようにしなり頭を直撃。身体が震える程の恐怖と痛みで暫く動けなかった。
  • 思うようにいかない事も多いが、覚悟して臨んだことなので苦労とは感じていない。
新規就農を目指す人へのアドバイス

まだ、アドバイスができるほど走ってきたわけではないが、今の自分が感じていることとして、

  • 好きな人も嫌いな人も含めてそれぞれが自立している仲間を作ること。
  • 大きな目標を達成する為の小さな目標を立てること。
  • 誰にでも挨拶をすること、自分で何でもやれるようになること。(私も努力中です)

【私が影響を受けた本のご紹介】
「土着微生物を活かす」趙 漢珪氏著書、「発酵利用の自然養鶏」笹村 出氏著書、「自分でわが家を作る本」氏家 誠悟氏著書、「発酵肥料のつくり方・使い方」薄上 秀男氏著書

写真:山頂にある圃場からの眺め(熊本市西区松尾町)