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令和3年度第2回相談会「新規就農者事例発表」詳細レポート(2)橋本寛史氏(阿蘇市)カラフルミニトマト、スナップエンドウ、ほうれん草、カブ

令和4年2月11日(金・祝)「【オンライン】令和3年度第2回熊本県新規就農セミナー&就農・就業相談会」新規就農事例発表者(2)橋本寛史氏氏(阿蘇市)カラフルミニトマト、スナップエンドウ、ほうれん草、カブ(文:新規就農支援センター)取材日2021年11月25日

橋本寛史氏(47)は、関東の非農家出身。大手家電量販店で最年少店長や、本社勤務の中、「すべてを自己責任で出来る仕事がしたい」と考え、39歳の時、脱サラして農業をはじめることにしました。

熊本は、以前の赴任先で暮らしやすいところだったので、農業をするなら熊本にしようと思い、2014年に熊本県新規就農支援センターに相談。そこで研修機関のNPO法人阿蘇エコファーマーズセンター(現九州エコファーマーズセンター)を紹介され、同センターの吉村事務局長に、インターンシップ体験や就農に向けての準備などのアドバイスを受けました。

いくつかの農業体験の中で、阿蘇の新規参入の先輩である篠原啓介さんと縁があり、篠原さんの知人である八代のトマト農業法人では、奥さんの優理さんと出会いました。その後、篠原さんから声をかけていただき、優理さんと2人で2015年1月1日篠原農園で雇用型研修を開始。1年3ヶ月の研修を経て、2016年4月1日阿蘇一の宮町で、カラフルミニトマト、スナップエンドウ、ほうれん草で独立就農を果たしました。

非農家出身である橋本さんは、独立に向けて、師匠である篠原さんや先輩農家、新規就農仲間など、たくさんの阿蘇の人たちに助けていただいたと話されています。最初は1人で新規就農支援センターを訪問した橋本さんでしたが、今では、優理さん、2人の子供さん、猫のミーちゃん、ポンちゃん、と家族も増え、2人の通年雇用のスタッフさんも一緒に働いています。「すべては人との縁をいただきました」という橋本さん。昨年末はハウスも増設しました。すこしずつ規模拡大し、農業所得は初年度から約3倍強になりました。

今後の目標をおたずねしたところ、阿蘇に広大にある田んぼの活用、もしくは山の活用をし、従業員は現在の2人から「3人+期間従業員2名」に増やし、経営はトマト58a 、スナップエンドウ12a,ほうれん草25a,カブ20a,その他+アルファーを栽培し、売上、所得も販路について明確に設定されていました。

しっかりと目的を持ち、それに向けて作業効率をあげるよう努力されていく姿は、新規就農を考える方の就農へのヒントになると思います。

就農までの道筋
2014年3月   熊本県新規就農支援センターで就農相談
2014年4月   NPO法人阿蘇エコファーマーズセンターに相談
2014年5月~  色々な農家で農業経験
2015年1月1日 篠原農園就業開始
2016年4月   独立就農開始
2021年9月2日 認定農業者に認定

経営内容(2016年4月 新規就農時)
■用地面積 50a(ハウス17a)
■労働力  本人・妻
■農機具・施設など :トラクター
■借入金300万円、自己資金200万円
■経営内容 カラフルミニトマト17a
■農業粗利収入:590万円 所得200万
■販売方法 農協経由の契約販売100%

経営内容(2021年11月)
■用地面積100a(ハウス58a)
■本人、妻、従業員2人(通年雇用)
■農機具、施設など:トラクター、管理機、トマト粉砕用モア 消毒器、草刈用モア、自動灌水
■経営内容:トマト37a,スナップエンドウ10a,ほうれん草25a
■農業粗利収入:売上1,300万円 所得720万円
■販売方法 農協経由の契約販売95% 出荷先は主に首都圏、農協個選3% 通販2% 
■収量10t 単価税抜き585円の契約栽培なので、591万円
■所得の推移 初年度より206万、262万、334万、398万、590万、720万

作付体系
■カラフルミニトマト 定植:5月初旬~7月初旬にかけて3回にわけて行う。収穫:6月中旬から11月下旬まで
■スナップエンドウ 播種:2月 収穫:5月中旬~6月末
■ほうれん草 播種:11月中旬から2月 収穫:1月中旬~4月末
■カブ(2021年から)播種:11月下旬~12月中旬
基本的にトマトはすべてのハウスで栽培し、裏作か時期ずらしで他の作物を植えます。

橋本寛史氏(作付体系)拡大

地域との付き合い
JA青壮年部の役員をしたり、新規就農者の仲間がいます。地元有力者の先輩方に支えていただいています。

生活を支えた補助的収入
次世代人材投資事業(経営開始型)の150万円(途中から夫婦型で最大183万円)の交付金

住宅の確保
情報元は賃貸業者。令和元年に新築で購入。農家の味方であるJAバンクの担当者の方に、3000万円借りるなら所得をいくらにすればいいかを聞いて調整しました。

Q1就農地と現在の経営概要 
45mハウスを17頭で約45aすべてでカラフルミニトマト、裏作でほうれん草、スナップエンドウ、今シーズンからカブを作っています。2021年年末に5棟増えてミニトマトで58aになりました。

Q2農業をしたいと思ったキッカケは 
仕事は楽しくしていましたが、勤めていた会社が買収され、経営方針の変更があり、自己責任で出来る仕事がしたいと思うようになりました。色々探しているうちに、農業なら追い風も吹いているし、勝てるような気がして始める事にしました。農業をするならば、以前の勤務地の熊本で始めようと思いました。

Q3農業の技術習得方法  
まずは、さまざまな農家をたずねて農業体験を行い、阿蘇新規就農者の先輩である篠原農園の篠原啓介氏から声をかけていただき、雇用型研修を1年3か月受けました。

Q4農地はどのようにして取得したか
師匠である篠原さんの紹介です。

Q5ハウス施設や農業機械、農舎などの取得及び資金の調達はどうしたか
中古ハウスやトマト部材など、諸々で300万円かかりました。
借入金300万円、自己資金200万円

Q6栽培している農作物の課題、及び苦労している点
特にはありませんが、トマト作りの反省点や、作業面での無駄を徹底的に省くことに注力しました。
令和2年度に夫婦で37aのミニトマト栽培をした時は大変でしたが、あらゆる作業効率をあげることで、最大の収益を上げる事ができたと思います。

Q7就農してよかった点。
自分(夫婦)で決断して実行できること。そのスピード感と妄想、想像が現実に変わる時。自由な時間があり、気に入らない人に頭を下げたりする必要が無い事。

新規就農希望者へのアドバイス
●開始型150万の使い道、意識して早く生活費から投資に回してほしい

●作ることに専念しすぎない事、売れて初めてお金になるので、作ると売るのは同じく大事。1万円売るのと、1万円コストカットするのは同じ

●売上と収益は違う、いくら口座に入るのか?肥料、農薬、土地、人件費、苗にいくらかかるかを頭にいれよう

●仕事の繁閑を無くそう、季節商売なので平準化は難しいが出来る限りピーク時の仕事を事前に予測して減らす努力を重ねる

●お金の流れを早く知ろう、リーマンと違い毎月いくらの給料ではない、買っても支払いが数か月後だったりしてるので感覚が狂う。早くなれよう。

●人と同じなら規模が大きかったり、早くするほうが勝つ事が多い。知恵を出して何が自分の強みなのかを考えよう。スキマ狙い。人がやってるから自分もやろう!は時に危険な事態になります。

●情報は沢山仕入れて正確なものを選ぼう。10人に聞いたら10通り答えが返ってくる。特に作り方は・・

●銀行担当者、メーカー、JA、農政課、成功している農家など沢山の人とつながりましょう。

●かなえたい事は日ごろから人に話しましょう。「お前、以前に〇〇が欲しいって言ってたよね!中古でいいのがあるみたいよ」なんて事があったりするので

橋本ファミリー(2021年11月25日撮影)「猫が来て、子供が生まれて、スタッフにも恵まれました。良い縁をいただいています」

インスタグラム「RadArk~ラディアーク~」

奥さんの優理さんが発信されているインスタグラム「RadArk~ラディアーク~」では日々の農作業の様子をアップされています。アカウント名:radark2016
この屋号で阿蘇の特産品に特化したオンラインショップ「ASOMO(アソモ)」でも販売も行っています

【オンラインセミナー新規就農者事例発表】YouTube動画

新規就農事例発表YouTube1「就農のキッカケ」

新規就農事例発表YouTube2 「技術の習得について」

新規就農事例発表YouTube3 ~研修を受けることの大切さ~ 農地取得について

新規就農事例発表YouTube4 ~資金の調達・農機具・農舎~

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新規就農事例発表YouTube8 エンディング