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第3回新規就農研修生集合研修~「夢」の実現に向けて~

2020年2月12日(水)~13日(木) 
1泊2日で第3回新規就農研修生集合研修が実施されました。

(主催:NPO法人熊本県就農支援機関協議会 
 協力:天草市担い手育成支援協議会)

本年度から実施されている集合研修で今回で第3回目になります。
熊本県下で研修を受講されている研修生が一同に会して、
日頃の研修に関する取り組みや悩み、また夢実現に向けた課題などを
意見交換することを目的として実施されました。

自己責任感の向上や新規就農への道すじを明らかにすること、
また今後、就農していく者同士、常日頃からの情報交換を行う
仲間づくりも図っております。

これまで、それぞれ別の研修機関で研修して、地域も作目もバラバラで
知り合う接点がなかった研修生たちが、この集合研修に参加することにより
自分が今 感じていることを話し、意見交換しながら解決策を見出し、
良い仲間作りの場の機会となりました。 以下、研修内容の詳細です。

1日目(2/12) 研修(事例発表&グループ討議)場所:河浦支所
①上天草市大矢野町 花き農家 野川氏の話
 現在63歳。若い時 4Hクラブに入り仲間が増え 郷土プロジェクトとして
 農協・市役所・普及所の人達と年末 杵つき餅を老人ホームに配ったり
 仲間たちと共に、常に明るく楽しく過ごさせてもらった。
 技術大会を天草でやりたい!と思い役員、運営委員会を引き受けた。

 28歳の時、結婚して子供4人。当時は花を作れば売れる時代だった為、独立。
 ところが土地を借り、ハウスを建てたところで地主から土地を返してくれと
 いわれ、かすみ草も病気にかかりダブルパンチに。それでもくじけることなく
 明るく前向きに過ごし、台風の際は、JAあまくさに相談に行き、グループ補助
 の話をきき、人をまとめて借り入れを。1人よがりにならず、常にまわりの人
 と対話し、進めていると道が見えてくる。

 新規就農者の方に伝えたいことは、自分が本当に好きなものをみつけ、
 精一杯努力する。すると必ず成功する。
 4Hクラブに入り、仲間づくりを。そこで色んなことを知り、そのつながりを
大事にすればよい。消防団など地域活動にもしっかり務め、人の役に立つこと。
 「人並みにしておけば人並。人より努力すればその分かえってくる。
 人を大事にし、作物を好きになり、農業を好きになれば幸せだと感じられる」

 ちなみに、大変な事が起こったとき、奥さんが「大丈夫!」と
 明るく尻を叩いてくれたと、笑顔で話されてました。

 現在、子供さん達も一緒に花農家をされ、また別の子供さんは
 今は親元から離れ、社会を勉強している時期です との事でした。

②天草市河浦町 きゅうり栽培 櫻田氏(新規就農者→認定農業者)
 ~中山間地域を好適条件と捉え、新規就農者が挑む儲かる農業の実現~
 就農6年目 34歳 子供2名。先日認定農業者へ。
 2020年1月28日開催された、第59回熊本県青年農業者会議(4Hクラブ)で
 天草地区は2年連続総合優勝しました。その発表者の1人が櫻田氏です。
 発表内容と共にご説明いただきました。
 
 (櫻田氏の発表)
 新規就農する際、2年間農地を探し、耕作放棄地の地主に相談し、賃借決定。
 最初は少量多品目で小物野菜を栽培し直売所で販売。
 しかし、思うように収益は伸びず悩んでいました。

 ところが転機が訪れます。就農1年目に天草地方の4Hクラブに加入し
 キュウリ農家と仲良くなり、地元河浦地方ではキュウリが良く穫れる地域だと
 気づき、就農2年目、天草市の4割補助の助成金を利用しハウスを建てキュウリ
 栽培を開始。そしてこれまで出荷していた直売所は車で往復1時間20分で
 労働負担が大きい中で、新規就農サポートチーム(市、普及員、JA指導員)の
 アドバイスで直売所だけだった出荷から、JAへのコンテナ出荷も取り入れる
 こと に。また、配偶者が本格的に農業に従事し、労働力が向上。
 
 経営強化について普及員とJA指導員による伴走方支援を受けることに。
 支援は「気づき(生産分析)」「考え(栽培計画)」「実践(計画に基づいた
 栽培)」と自ら、普及員、JA指導員のダブルチェック。 
 評価は、栽培及び経営成果の評価。 結果、今まで弱みだった点が強みに。

 天草地域で儲かる農業のモデル事例となり、新規就農者、4Hクラブ員、
 地元農業高校生に内容と成果を紹介。他地域より視察も増加。
 夢は地元の活性化を仲間と共に実現する事との事でした。

③上天草市大矢野町 胡蝶蘭栽培 藤島氏(2019年新規就農者)
 実家は菊農家。サラリーマン時代、世界的投資家 ジム・ロジャースの
 「将来的に農業に注目が集まるの必須」という記事を読んだのが2014年。
 当時、仕事は楽しく、他の社員に負けないようにしていたため、まさか
 農業をする とは思っていなかったが、30歳を目の前にしてある番組を見て、
 自分の人生の目標として技術を身につけ、活躍し生計を立てていきたい
 と願うようになった。

 実家は菊農家だけれど、自分は胡蝶蘭に興味があり
 胡蝶蘭栽培は飽きないと感じ、好きなものを作目に選択。

 ところが、胡蝶蘭の栽培方法の資料は少なく、求人を見てもほとんどなく
 どこで学んでいいのか?何がいいのか全く分からない状態。そんな中
 宇城市でパート募集を知り、そのチラシを頼って訪問したところから
 胡蝶蘭農家への道を歩み始めます。

宇城市での貴重な経験がキッカケとなり胡蝶蘭を本格的に学びたいと
 思うようになり、世界の胡蝶蘭の第一人者 アンディ松井氏
(アメリカ在住)に研修を受けさせてくれないかと直接連絡。
 
 するとアンディ松井氏より直々に連絡があり
「あなたはどこで販売したいと思っていますか?」との問いかけが。
「日本で販売したいです」と 答えると、「それならば日本の
 生産者に学んだ方がいいでしょう」との回答。

 そこで埼玉の生産農家に学ぶことに。ここは40年以上続いている農家で
 パートが50人もいるところ。見習いとして、社員の人と同じところに
 住まわせてもらい、24時間胡蝶蘭のことを考えることが出来る環境に。
 そして師匠の「埼玉の環境と九州では違うので、九州で春夏秋冬 
 生育の癖をつかみなさい」という言葉を胸に、宮崎で研修。

 その後、独立に向けて準備をしていきます。
 「上天草市の中で胡蝶蘭の前例がなく『認定新規就農者』となる審査が
 なかなか降りず、借入に苦労しながらも応援してくれる方がいたので、
 何とか前へ進むことができました。このような新規就農者に対して、
 もっと手厚くフォローできる環境があれば農業をしたい人はもっと
 増えてくると思います。」との事でした。 以下は藤島氏の言葉です。
 ・人生において時間は限られている。自分の目標を明確に。
 ・自分が勉強したいという熱意が大事
 ・自分で始めたことなので、どんなことがあっても人のせいにしない
 ・計画通りにことを進める緻密な計画と実行が必要
 ・時代の流れを読む
 ・自分1人では出来ることは限られている

研修その2 グループディスカッション
新規就農研修生を3つのグループに分け、それぞれ
①新規就農認定計画での課題 ②ライフプランについて
③さらにここが知りたい を紙に書いてあげていく。
それを討議し、発表。

悩みは「農地」「資金」「ライフプラン計画」など
皆 同じ悩みを持っていることに気づくコーナーでした。 

集合研修2日目 現地研修視察
天草市河浦町 きゅうり栽培経営体 嶋田浩二氏の農園
更新型蔓下し栽培の農園にて詳しく説明していただきました。
品種のこと、土づくりのこと、排水について、ハウスのことなど。
新規就農者の方に向けての言葉は「作物の性質を知ることは大事。
疑問に思ったことは何でも聞いてみること」

(天草地区の熊本県地域就農支援アドバイザー金子彰彦氏のコメント)
 嶋田氏は、県立農大を平成2年に卒業し就農。今年で就農30年、きゅうり栽培一筋に頑張ってこられている。就農当初は施設30aで年2作型の栽培であったが、現在は施設を60aに増設し5名の雇用を入れて経営を行っている。雇用型経営の場合、一番苦心するのは雇用の安定確保であるため、年間安定して雇用が出来るよう作付け体系も工夫し、施設も夏場でも比較的換気が良い髙軒髙の施設を導入。従業員が働きやすい環境整備に努めている。

また、品種もこれまで色々返還したが、現在は埼玉原種育成会の品種を導入し、整技方法もこれまでの摘心栽培から更新つる下し栽培に変更している。この方法に変更したことにより安定した着果で株疲れが出にくく、着果位置も上部に一定するため作業効率も上がり従業員受けも良いとの事。

 嶋田さんは、新規就農者に「まず作物の性質を知ることが大事。(品種や作型天候により生育は大きく変わる。)疑問に感じたことは、なんでも指導員や先輩方に聞く事」と言っておられた。

天草市天草町 ミニトマト農家 新規就農者 益田氏の農園
農大出身。父が病に倒れた為、大学を途中でやめ、あとを継ぐことに。
このハウスはもともとマンゴー用のハウスだったとの事。
新規就農して数年ですが 頑張ってらっしゃいました。
新規就農の先輩の生の声は研修生にとっても、勉強になったと思います。

(天草地区の熊本県地域就農支援アドバイザー金子彰彦氏のコメント)
益田氏は、県立農大在学中に父が病気に倒れたため農大は途中で退学し、家業のミニトマト栽培に従事され、今年で就農6年目。現在は姉とパート従業員数名で約30aのミニトマトと夏秋きゅうり20aを栽培している。
農業は奥が深く、天候で大きく作業段取りが狂うこともあり、まだまだ試行錯誤の状況であるが、楽しみながら篤農家への道を歩んでおられる。

最後は天草下島の名所 十三仏公園にて記念撮影。
そして研修生同士が熱心に話し合う様子が嬉しく感じられました。
研修生、先輩農家さん達、市・県・JA、関係機関
一堂に会して行う集合研修は年齢やキャリアの垣根を越えて
色々話せる場となりました。研修生の皆さん 頑張ってくださいね。